検査部公開セミナー (H29.02.21開催)
採血の基本~採血手技と検査結果の関係 Q&A
当センターでは小児科で使用していますが、babyの採血には非常に有効と思います
■ 駆血帯を少しきつめに締め直してみる。ただし、駆血帯は締めすぎると検査データに影響を与える。(ピルビン酸の低下等)との報告もあり、1分以内に留めたい。また、患者の苦痛にならないように配慮する。
■ 手首から肘へ向かって少しマッサージしたり、手首の向きを変えてみると、血管が見えやすくなったり、触れやすくなる場合がある。また、血管部分を軽く叩いてみることも有用である。
■ 採血部とその周辺を温タオルで温める。
■ 筋量が多い場合には、患者にあまり手を握らないようにしてもらい、採血者は採血部を少し強めに押して血管の感覚を得るようにする。
■ 前回の採血部を患者に聞いて見ることも参考になる。ただし、患者の言葉だけを鵜呑みにせず、自分できちんと探すことが大切である。
■ 一旦駆血帯を外し、患者さんの姿勢を再度正して採血枕の高さを少し下げてみる。また、採血する腕を一旦下してから再度駆血帯を巻く。
■ 腕の裏側に血管が走行している場合があるので、両腕全体をくまなく探してみる。手を軽く握ってもらうのはよいが、握ったり繰り返すクレンチングは血清カリウムなどの検査データに影響を与えるため、行わないようにする。
患者へ丁寧に対応し、他の職員と連携して上長に報告する。必要なら採血依頼医師に受診してもらう。
一般的な治療は、採血した腕に負担がかからないように行い、痛みの訴えが無い場合は保存的に経過観察し、
血腫が吸収されるのを待つ。疼痛が強い場合は冷湿布や抗血小板作用の少ない鎮痛剤を使用する。
血腫が大きく神経の圧迫症状をきたす場合には、外科的に血腫を除去する。
冷蔵をお勧めします。室温よりは検査値への影響は少なくなります。
【全血保存での変動】
検査項目 | AST | ALT | LDH | ALP | γ-GTP | ChE | CK | AMY | TP |
室温 | ↑↑ | ↑↑ | ↑↑ | 24h - | | | ↓↓ | - | ↓ |
冷蔵 | ↑ | | - | - | | 4day- | ↓↓ | - | ↓ |
検査項目 | AIB | UN | CRE | UA | T-BiL | T-CHO | HDL-C | TG | Na |
室温 | ↓ | | | | ↓ | ↑ | ↑ | ↓ | ↓ |
冷蔵 | ↓ | | | | | | | | - |
検査項目 | K | Cl | Ca | IP | Fe | Glu |
室温 | ↑ | ↑ | ↓ | ↑↑ | | ↓ |
冷蔵 | ↑↑ | | | ↑ | | ↓ |
遺伝子検査HBV-DNA定量、HCV-RNA定量、HIV-RNA定量はプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、血液細胞の影響を受けるため室温6時間以内となります。
取り直しが可能であれば当日採血をお願いします。
あまり好ましくありませんが、条件として同じ時間帯であれば構わないです。
特に凝固検査は採血量が影響しますので規定量が必要となります。
生化学試験管に何回も継ぎ足しはしないで下さい。すでに同じ時間帯ではないはずです。
検査項目により検査必要量がありますので、検査部までお電話下さい。
講演の感想
■ 採血手技、スピッツ等の取扱いは、先輩から学んだ事で自己流となっていたことがわかりました。
帰ったら伝えたいと思います。
■ 改めて勉強できる機会となりました。前もって質疑のアンケート・応答があり、分かりやすかったです。
また、悩むこともあったので、本当に来てよかった。
■ 今回のセミナーで学んだ事を注意しながら行いたいと思います。
■ 採血順番は今まで考えていなかった。手順の見直しをしたい。
■ 採血の仕方、駆血帯の強さおよび時間によって検査値に差があることが良くわかりました。
■ 5回程度の転倒混和、クレンチングによるカリウムへの影響、23Gより細い針は使用しないほうが
良いことについて、ついつい行っていた為、参考になりました。
■ 色々な話が聞け、とても分かりやすく勉強になりました。
■ 翼状針での採血量の違い、少量検体時の陰圧解除等勉強になった。
■ 真空採血管の構造がわかり今後採血するとき気を付けたい。
■ 非常に分かり易い講演会でした。
以上、お忙し中多くの看護師の方が聴講され、感想をいただきました。今後も不定期と思いますが
皆様方のご意見を
参考に継続していきたいと思います。ありがとうございました。
検査部技師長 平井義彦